今回は通信業界の歴史について料金プランを参考に解説していきたいと思います。
歴史と言いましても、期間としては2015年くらいから最新の2021年までの約6年間をまとめさせて頂きました。
各社の料金プランや、機種代金の購入方法をメインに記事としていますので参考にしてください。
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目次
- 携帯の料金プラン年表
- データ定額プランの時代
- 家族割やネット割の追加
- 従量制と大容量の2極化
- 48分割+2年後端末回収とは
- 楽天モバイルと格安スマホの本格参入
- オンライン限定プランの開始
- 今後は5G回線の普及が肝
- まとめ
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携帯の料金プラン年表
▫料金プラン
大手3キャリアのデータ定額プラン
参考:パケットパック(シェアパック5/10/15、データパックS/M)受付終了 | 料金・割引 | NTTドコモ
▫機種代金
2年分割+毎月割引の組み合わせ
↓
☆コラボ光サービスの開始
参考:「光コラボレーションモデル」の提供開始について | お知らせ・報道発表 | 企業情報 | NTT東日本
↓
▫料金プラン
定額プランに家族割やネット割の追加
参考:おうち割 光セット | スマートフォン・携帯電話 | ソフトバンク
▫機種代金
端末購入サポートにより端末にも短期の違約金
↓
▫料金プラン
従量制プランと大容量プランの2極化
参考:シンプル2択な料金プラン。ギガホ プレミア、ギガライト | 料金・割引 | NTTドコモ
▫機種代金
48回分割+端末回収の組み合わせ(乗り換え不可)
参考:アップグレードプログラム | スマートフォン・携帯電話 | au
↓
☆解約金の撤廃+機種代金の還元額設定
↓
☆楽天モバイルと格安ブランドの本格参入
↓
▫料金プラン
オンライン限定プランの開始
▫機種代金
48回分割+端末回収の組み合わせ(乗り換え可)
-
データ定額プランの時代
iPhone6やiPhone6sが発売したくらいの時代に
大手3キャリア(docomo、au、SoftBank)で、データ定額制をメインとした料金プランの提供が始まりました。
※下記の金額設定は正式な料金プランの金額ではないので、あくまでもイメージ作りとして参考にしてください。
データ定額プランの仕組みは
毎月のデータ容量を何GBにするのか+通話のプランを何にするのかを組み合わせるだけのシンプルな料金プランです。
①データ定額は基本的に
2GB 3500円
5GB 5000円
のどちらかから選び
※auやソフトバンクでは1GBと3GBの提供もされていました。
②通話のプランも基本的に
5分カケホーダイ 2000円
時間無制限カケホーダイ3000円
のどちらかから選ぶというシンプルな内容。
上記の①+②の合計が毎月の基本料金となる仕組みな訳です。
毎月割とは何か
このころの機種代金のお支払い方法としては、一括払いか24回の分割払いが主流でした。
一括払い、24回払いどちらの購入方法でも「毎月割引」という仕組みが採用されており
購入した機種を継続して契約している期間、最長2年まで月々のお支払いに割引が適用されるという内容です。
機種代金が毎月3000円だとして、毎月割引が2000円であれば
3000円(機種代金)
2000円(毎月割引)
1000円(実質の機種代金)
このようなイメージになるという訳です。
データ定額プランで購入した参考例
例えば、「データ定額5GBと5分かけ放題」を選んだ場合にiPhone6sを購入したとします。
データ定額5GB→5000円/月
5分かけ放題 →2000円/月
iPhone6sの機種代金が84000円(仮定)
24回分割で購入→3500円/月
毎月割引 →3000円/月
それぞれの料金内訳はこのようになる訳ですが、実際に見積もりを算出してみると下記図のようになるのです。
それでは機種代金を一括で購入した場合はどうなるのでしょうか。
答えは、先程の図にある右側の機種代金を最初に支払うだけなので、84000円を支払い毎月の基本料金は4000円になるということなんですね。
乗り換えがお得だった理由
この時代の乗り換えでは、機種代金が大きく値引きされる事が多く
機種代金が0円で購入できる。という事も珍しくはありませんでした。
先程の見積もりで例えてみるとこのようになる訳です。
機種代金を一括で購入した場合と毎月のお支払いは同じなのですが、機種代金が84000円支払わなくて良くなったので
会社を乗り換えただけで84000円お得になっていたという事なんですね。
ちなみに、この頃に多かったクレームや問い合わせが
機種を購入して2年経過したから機種代金が無くなって安くなるだろう!と勘違いしているお客様が
毎月割が無くなる事により、安くなるどころか「めちゃくちゃ高くなる」驚きの仕組みになっていた為
「なんでだ〜!」って仕組みが理解出来ていないお客様が多かった事は記憶に残っていますね。読者様でも2年たったら安くなると思ってたのに、そのまま同じ支払い金額だったり高くなった記憶はあることでしょう。
結論このような仕組みが関係していたという事ですね。
▫NTTフレッツ光と提携したコラボ光の開始
▫各社20GBプランの提供開始
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家族割やネット割の追加
大手3キャリアがデータ定額プランを提供し、ある程度浸透してきた頃に他社との差を出すため
それぞれの会社で独自の料金プランや割引を提供し始めました。
ドコモ
ドコモは1人1人が単独でデータ容量を使うという概念を打ち壊し、データを家族で共有する「シェアパック」を提供開始しました。
シェアパックのイメージ図
シェアパックの代表回線と、シェアする子回線の組み合わせで成り立つプランとなっており
代表回線の金額設定は高めに設定されているが
共有するシェア回線は金額設定がかなりお安く設定されているため、シェアする回線数が増えれば増える程1台辺りの通信費がお安くなる画期的な料金プランです。
またコラボ光サービスの「ドコモ光」を契約する事により、ドコモのスマホをお安くできる「光セット割」も提供が開始されました。
au
auは1人でもお安くという料金プランを提供し、家族割よりも固定回線(WiFi)の提携会社を他社よりも豊富にする事でauのスマートフォンをお安くしやすく出来るように提供を行いました。
有名な提携のインターネット会社は
auひかり
JCOM
BIGLOBE光
電力系の固定回線
ケーブルテレビ(CATV)
WiMAX等で
このように様々なインターネットでセット割を組めるのはユーザーにメリットの大きい仕組みでした。
SoftBank
SoftBankはスタッフの誰しもがWiFiの提案をする必要がなくなるってこと?と驚きを見せた
50GBプランという当時では考えられない大容量のプランを提供開始しました。
さらに家族割が最大4人まで適用される、大家族の取り込みを狙った料金設定で他社を引き離す革命的な料金プランが提供されました。
また家族割に加えて、コラボ光サービスの「SoftBank光」を契約する事により、SoftBankのスマホをお安くできる「光セット割」も提供されていました。
端末購入サポートとは
家族割やネット割が適用される新しい料金プランが提供されるにしたがって、スマートフォンを購入する仕組みも新しく進化していきます。
毎月割が主流だった購入方法から「端末購入サポート」という購入方法が加わり、このころから「携帯の料金プランは難しすぎる!」とか「こんな縛りはおかしい」との声があがるようになったのかもしれません。
では、端末購入サポートわ分かりやすく解説すると
先述した「毎月割」は2年間掛けて値引きを入れていく仕組みだったのですが、デメリットとしては2年経つ前に解約や機種変更をしてしまうと、そのタイミングで毎月割が無くなってしまうという点でした。
イラスト入れる
端末購入サポートはそのデメリットを解消した仕組みで、機種を購入する際に「最初から機種代金安くします!」という仕組みなんです。シンプルですよね。
84000円のiPhone6sを購入する際に、乗り換えで購入されるなら最初から48000円値引くので
「36000円で買えますよ!」ということです。
仕組みは分かったけど、端末購入サポートのメリットは何?との質問があると思うので下記にまとめます。
例えば、「1年間はiPhone6sを使う予定でいるけど、2年間も使わないよ!」というお客様には
1年間で機種変更してしまうと想定した場合、下記図で見てみると2000円の毎月割が12回分割しか適用できず
24000円の値引きで終了してしまうのです。
しかし、端末購入サポートで購入した場合は最初から48000円値引きしているので1年後に機種変更しても値引き額が減るという事はないんですね。
ただし、メリットがあればデメリットはつきもの
端末購入サポートは基本的に、購入した機種は1年間以上は必ず使用しなければならない。
このような制約が条件として付いており、購入時に48000円値引きを行うが、もしも1年以内に機種変更や解約をした場合
「端末購入サポート」の違約金として30000円料金が発生します。みたいな縛りが実はあるんですね。
1年以上という条件ならまだマシですが、会社によっては2年経過するまで、機種の利用月数に応じて少しづつ違約金の料金が安くなっていく仕組みを採用している事もあったので
ユーザーとしては、「なんかめちゃくちゃ縛られてる!」
と感じるきっかけになったプランだったのではないかと振り返ります。
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従量制と大容量の2極化
2019年10月からの法改正により各社2年縛りの解約金を1000円までにするという変更に合わせて
スマートフォンの購入に対する還元を上限2万円までにするとの大きな変更がありました。
この法改正により、「機種を新しく買い替えたい!」というお客様が機種の値引きが無くなった事によって、現状よりお支払いがかなり高くなってしまう割合が増えてしまったのです。
こうなると、支払いが高くなるなら今の機種をそのまま使おうと買い控えしてしまう恐れがあり、携帯会社としては困った法改正になってしまったので各社新しいプランをまた提供します。
従量制プラン
大手3キャリアGB数を余り使わないユーザーに向けて、「毎月データ定額を使った分だけしか料金がかからない!」というコンセプトで
データ使用量によって請求金額が変動する従量制のプランを採用しました。
- GB数を1GBからスタートさせる
- お客様にGB数の管理を任せる
- 半年間や1年間といった限定の月額値引き
このように、1GBでデータ使用量が収まれば安くなるという節約志向を武器に料金プランを展開。
さらに、「最初の1年間はさらに安くなる!」というような限定的キャンペーンを組み合わせることにより、大半のユーザーを新料金プランへ変更することに成功しました。
1年後に関しては、期間限定のキャンペーンが無くなってしまう為
「家族割と固定回線のセット割」
を新しく組み合わせることにより、条件が揃えば今まで通り安く出来る!とユーザーの家族、固定回線のまとめる契約に上手く繋がる仕組みが完成したのです。
上記のように割引を上手く組み合わせる事が出来れば、1GBで足りるユーザー等は、割引期間を気にすることなく
格安携帯会社に匹敵する料金でスマートフォンを使用できる環境になったのです。
大容量プラン
従量制のプランと同時に提供を開始したのが
データ使い放題等の大容量プランです。
SoftBankが50GBプランを前から提供していましたが、au、ドコモも大容量プランの提供をスタート。
従量制のプランで何GB以上使う場合は、大容量プランにした方がお得になると
従量制プランと大容量プランの境目を上手く作り、我慢するくらいなら大容量プランにしておこうと
大抵のユーザーが大容量プランを選びたくなるようなGB数設定になっており、まったくインターネットを使わないユーザーは従量制プラン。ある程度使うユーザーは大容量プランと大きく2極化される時代へと変化していきました。
48分割+2年後端末回収とは
このころから、「毎月割」や「端末購入サポート」の仕組みがなくそうという動きが始まりました。
2年縛りや端末購入の縛りというキーワードが世間に際立ってきた時期で
お客様に契約内容を分かりやすくする為、「毎月の基本料金」と「購入する機種代金」を分離したプランにしましょう。という流れが始まりました。
ドコモは「毎月割」や、「購入サポート」を継続。
auは「アップグレードプログラム」
SoftBankは「半額サポート」
を提供開始しました。
auとSoftBankの新しい購入方法は
機種代金をまず48年分割で購入して、24ヶ月経過した後に
そのまま機種を使い続けるか、新しい機種に機種変更するか選べるという仕組みの購入方法でした。
機種変更するって言っても、「25ヶ月目から48ヶ月目の残債がまだ残ってるじゃん!」そう思った方はその通りで
機種変更する場合の条件は、24ヶ月使用した端末を下取りに出すこと。つまり新しい機種と交換しなさいという仕組みなんですね。
この仕組みは2年事に新しい機種に買い替えたい!というユーザーにはとても良心的で複数のお客様が契約されました。
しかし、この購入方法は通信料金と機種代金の分離化で始まったはずの内容だったのですが、実は恐ろしい落とし穴が待っていたのです。
24ヶ月目以降の機種変更+端末回収で残債が免除される。これにはもう1つ条件があり、「他社へ乗り換えたり解約をする場合は仕組みが使えなくなる」という別の条件があったのです。
auで購入したならauで、SoftBankで購入したならSoftBankで機種変更をしなければ残債免除が出来ないと
過去を振り返ってもここまでガチガチに縛られた契約内容は思いつかない程、究極の端末縛りが完成していた契約内容だったのです。
ちなみに機種代金の値引き方法に関しても工夫が施され、2万円以上機種代金が値引き出来た時期は、下記図のように機種代金を最初に値引きして48分割しか出来なかったのですが
お客様が負担する前半の24ヶ月間に2万円の値引きを入れ込む事ができるという、仕組みに進化されお得さを維持することが可能にできたのです。
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楽天モバイルと格安スマホの本格参入
楽天が4つめの大手キャリアとして名乗りをあげ衝撃が大きかったことは今でも記憶に新しいですね。
楽天モバイルとして通信業界に参入を行い、大手3キャリアの長年バランスを取りあっていた生態系が脅かされる時代に突入したのです。
楽天モバイルは1年間通信料が無料で使える驚きのキャンペーンや、大手キャリアではデータ大容量プランは約7000円の料金設定になっているのに
楽天モバイルでは約3000円でデータが使い放題になる半額近い金額設定をするなど、ダークホースとして通信業界へ大きなインパクトを与えました。
大手3キャリアも黙っている訳にもいかず動きを見せ、過去から提携を行っていた格安ケータイ会社と1つにまとまる合併を行ったのです。
UQモバイルはauのサブブランドとなり
Y!mobileはSoftBankのサブブランドとしてサービス提供を始めました。
UQモバイルとY!mobileの料金プラン
この頃の大手3キャリアの料金プランは
従量制プランと大容量プランの2極化になっていたので、5GB~10GBくらいの利用をするユーザーにはちょうど良い料金プランがなかったのです。
サブブランドとして提供する格安スマホの料金プランでは、この5GB~10GB付近のユーザーを取り込むべく料金プランの作成が行われました。
データ使用量が極端に少なく1GB以下で収まるユーザーや、20GB以上利用するユーザーは、大手キャリアの料金プランがオススメとなるような仕組みを作り。
UQモバイルやY!mobileは、この2GB~20GB程の使い方をするお客様層をターゲットに料金プランを提供するようになったのです。
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オンライン限定プランの開始
楽天モバイルの参入や格安スマホとの統合により、大手キャリアはさらに安さを追求した料金プランを提供しようと
インターネットからお客様自身で申し込みをするオンライン限定の受付プランを提供開始しました。
申し込みから、利用開始までお客様が全てご自身で行う事で人件費にかかっていたコストを抑え
20GBの料金プランを約3000円で利用可能になったのです。
しかしユーザーからすればデメリットも多く、問い合わせはチャットでの対応が基本になり、店頭に問い合わせしてもスタッフからは詳細は分からないのでお答えできないと
サポート面はかなり手薄になるサービス内容となっているのです。
各社20GBプランをそれぞれ特徴のある内容で提供をし行っています。
48分割+端末回収が乗り換えOKに
解約金の法改正が行われたことにより、乗り換えを自由に出来るようになりました。
しかし、ユーザー側でネックになっていた仕組みが大手キャリアの端末購入方法で48分割の端末縛りです。
iPhone11の発売がされ始めた頃に、各社48分割の仕組みを変更し、契約は他社に変更したとしても端末を自社で購入してもらえれば残債を免除すると
通信料金と端末購入の分離化が、この時にやっと正式に分離された瞬間だったと今になって振り返ります。
この仕組みに変更された事で、ユーザー側も乗り換えを気軽に出来るようになり
最新機種は大手キャリアで購入。その後に格安スマホに乗り換えるという定番の流れが出来上がるきっかけになったのです。
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今後は5G回線の普及が肝
料金プランの値引き合戦が始まり、各社底の見えない戦いを行っているように感じられる現代。
販売員のスタッフ側からすると、新しい携帯電話が売れない時代に突入し恐ろしい氷河期を向かえようとしているようにスペ太郎は考えます。
理由としては今のスマートフォンは性能が高く、利用者の立場からすると
壊れるまで買い換える必要がなくなってきているからです。
以前までは月日が経つと動きが悪くなったり、電池持ちが悪くなったりでストレスを感じる状態になり改善する為に機種を新しくする。
新しくする時に料金プランを見直しする事で、少しづつお安くなるような流れが出来ていました。
しかし最近では、「前作よりCPUが20%向上しました!」とか、「カメラのレンズが4つになりました!」とか別にそんな事を必要としているお客様ってほぼいないんですよね。
つまりお客様からすると、ここまで安くなり切った料金プランで、機種を買い換えると毎月の料金が高くなることが目に見える。
さらに現状使っている機種の性能に満足しているので買い換える必要性がない。
お客様からの視点であれば安くなってメリットしかないのですが、スタッフ側の視点で考えるとこういった恐ろしい時代になっているということなんです。
今世界では新しい電波の5Gが普及してきており、日本でも少しづつ提供が開始されてきています。
まだまだエリアもせまく、5Gが使えるからと魅力的な点は、まだまったく感じられないのですがこの5Gが通信業界の氷河期を脱する大きなポイントだとスペ太郎は考えます。
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まとめ
料金プランを通して5年前くらいから歴史を解説してみましたがどうだったでしょうか。
それぞれの時代事に料金プランや、機種の購入方法がまったく違い
過去の料金プランを理解する事で、お客様への提案方法が今までとガラリと変わってくると思います。
今、実際に働いている販売員の皆様は売れにくい厳しい時代で携帯を販売しています。
まずはその事を理解する事が大切で、歴史を理解する事によりお客様へどう案内を行っていくのか提案方法も変わってくるはずです。
これからの新しいサービス、新しいスマートフォンがどうなっていくのかワクワクしながら通信業界の氷河期が終わりを迎える事を願って記事をまとめさせて頂きたいと思います。以上